寄附金控除は国が特定の対象に寄附を行った場合に、所得税の控除が行われる制度のことで、特に欧米を中心として充実している傾向です。
その対象は地方公共団体や社会福祉法人、あるいはNPO法人といった組織が挙げられます。
目次
所得税税額控除の寄附金特別控除の違い
また、国に対する寄附も同様に、所得税の所得控除が受けられる場合があります。
ちなみに所得税税額控除の寄附金特別控除は、名前が似ているものの内容は異なるので注意が必要です。
寄附金控除は所得税を対象としていますが、住民税を対象とした制度も存在します。
寄附金税額控除は一般的に、いわゆるふるさと納税の名前で知られているので、かなり浸透しているといえるでしょう。
海外においては、例えばアメリカだと税控除の範囲が広く設定されており、控除限度額も日本と比べて高めです。
その理由は慈善的な行為を良しとする文化と、積極的な寄附が行われてきた歴史にあるといえます。
一方、イギリスでも制度が確立されていて、チャリティ機関を含めた寄附を行う個人や法人が恩恵を受けられるようになっています。
チャリティに給付される額は、寄附金の約3分の1といったところで、給付額に相当する金額の納税が求められます。
日本における制度は、居住者が2千円を超え特定別寄附金を支出した際に、1年の特定寄附金の合計金額とその年の総所得金額等の40%の内のいずれかが控除されます。
具体的な控除額の算出方法
控除は特定寄附金の1年間の合計と総所得金額等の40%の相当額で、少ない方が対象です。
端的にいえば、2千円を控除した残額のその年分の所得金額から控除が行われる制度となっています。
控除を受けるには確定申告が必要ですが、寄附した分に掛かる所得税が免除されるのと、同等の効果が得られるのがメリットです。
具体的に控除額を算出するには、特定寄附金から2千円を引いた金額と、総所得金額等に40%を掛けて2千円を引いた金額を比較して、少ない方が答えとなります。
特定寄附金は国か地方公共団体に対する提供、公益社団法人や公益財団法人に対する提供というように定められています。
前者は港湾法の規定による港湾局を含みますが、恩恵が及ぶ設備の専属的な利用権を持つような対象者は除外されます。
後者の場合は、公益を目的とした事業を行う法人や団体が対象で、財務大臣が指定する指定寄附金があてはまります。
学校法人で学校の設置においても寄附が認められて控除の対象になるケースもある
対象が公共法人などであれば、教育や科学の振興、文化向上や社会福祉の貢献が認められるケースにおいて、寄附金控除が適用されることがあります。
対象には、独立行政法人や自動車安全運転センター、日本司法支援センターや日本私立学校振興共済事業団、日本赤十字社の名前を挙げることが可能です。
学校法人で学校の設置においても、寄附が認められて控除の対象になったりします。
芸術を普及させる為の業務、文化財保護法における文化財の保存、活用業務に関する助成金の支給も対象となります。
海外地域の経済協力も、開発途上地域の資金贈与なら、やはり特定寄附金とみなされることになるでしょう。
政治活動でも寄附を行えば控除の対象になる
国土の緑化事業や社会福祉目的の事業の助成も同様ですから、特定寄附金の範囲は非常に広いことが分かります。
政治活動でも寄附を行えば控除の対象になるので、政治家の寄附を促す一種のインセンティブになっています。
認定NPO法人に対する寄附も、特例として該当することになります。
寄附金控除のメリットは、提供によって誰かを経済的に支援できたり、そのリターンとして所得税の控除が受けられることです。
双方にとってメリットになる上に、寄附が促進されることにもなるので、広範囲に良い影響が及ぶ魅力的な制度だと考えられます。
海外で普及しているのも頷けますし、何故欧米で熱心に寄附が行われているかも見えてくるはずです。
いずれにしても、目に見えるメリットがあれば前向きに寄附を検討できますし、何より善行をする満足感が得られます。
対象は寄附をする本人が選べるので、何処にいくら提供を行うか決められるのもメリットです。
まとめ
勿論、特定の対象に高額な捻出をするも良し、複数に分散してそれぞれ少しずつ提供を行うのもありです。
日本は欧米に比べると後発ですが、近年は控除を拡充する法改正が進み、メリットを受けられる機会が増えています。
今後、メリットの内容が見直される可能性もありますから、どう改善されていくか要注目となります。
恩恵を受ける為に確定申告が条件となっているので、確定申告のインセンティブが働き、納税が進むという副次的なメリットもあります。
つまり、このような控除を設けない理由はないですから、制度は合理的ですし、導入している国々の判断は正しいと思われます。
最終更新日 2025年6月27日